NTTドコモ・ベンチャーズ × Quest 対談インタビュー

2025/04/17

事例紹介

NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)の共創チームが描く未来とは?

2025年3月27日、NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)の貝沼さま、平尾さまとQuestの対談インタビューが行われました。本記事では、NDVの共創チームがどのような役割を担い、Questのレポートを活用してどのような価値を生み出しているのかを探ります。


共創チームの役割と背景

── まずは、お二人の自己紹介をお願いいたします。

貝沼氏(NTTドコモ・ベンチャーズ)
NTTドコモ・ベンチャーズ(以下NDV)の貝沼です。

私は2年半前にNDVに入社しました。それまでにエンジニア、マーケティング、コンサルなどを経験してきたのですが、外部から見たときに感じていたCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の課題を解決したいという思いと、CVCの立場をもっとうまく事業開発に活用できないかという思いがあって入社しました。

NDVは、ドコモだけでなくNTTグループ全体のCVCでして、様々な事業領域をカバーしています。基本的にはNTTグループと協業可能性のあるスタートアップに出資することで協業を推進するのですが、私が所属する共創チームは、協業の部分に特化しており、出資は必ずしも伴わなくとも良いというスタンスです。

我々は、基本的にはNTTグループの事業部門の立ち位置に軸足を置いています。事業部門の戦略や課題・ニーズを引き出し、それらをもとに連携可能性のありそうなスタートアップをつなぐことで、双方にとって有益な関係を築くことを目指しています。


平尾氏(NTTドコモ・ベンチャーズ)
私も同じく2年半前くらいにNTTコミュニケーションズからNDVに異動しました。以前は、アメリカのスタートアップを日本に誘致し、ビジネス展開を支援する業務を担当していました。

NDVに異動してから感じたのは、スタートアップに関する情報は多いものの、市場動向の調査やマクロな視点での分析が不足している点でした。そこで貝沼さんと話し合い、Questに市場調査を依頼することになりました。



短期間で高いクオリティのレポートを提供してくれることがQuestを選んだ理由

── 数ある市場調査会社の中で、なぜQuestを選んだのでしょうか?

平尾氏
初めて依頼したのは2023年で、複数社にコンペを掛け、価格とクオリティを総合的に判断しQuestに発注を決めました。

特に、Questのレポートは大手コンサルティングファームと比較しても遜色のないクオリティでありながら、コストパフォーマンスが優れている点が魅力的でした。


貝沼氏
私自身、コンサル時代に同様のレポートを作成していた経験がありますが、Questさんのレポートは情報の粒度が細かく、短期間で高品質なインサイトを提供してくれました。

また、代表の南さんをはじめ、Questの皆さんの仕事のクオリティを以前から知っていたこともあり、安心して依頼することができました。


レポートを活用し、社内の理解促進と新たなビジネス創出へ

── 調査結果をどのように活用されていますか?

貝沼氏
まずは、私を含めたNDVメンバーのナレッジの蓄積になっています。業界全体を俯瞰することで、出資・協業に関する演繹的な仮説構築ができるようになってきたと感じます。

また、NDVの活動は、NTTグループ内でも「何をしているのかよく分からない」と思われることが少なくありません。そこで、事業部門にスタートアップ連携への関心を持ってもらいつつ、NDV自体の社内プレゼンスを向上させるために、レポートを社内の啓発活動に活用しています。

具体的には、レポートをもとに勉強会を開催したり、Slackで情報発信を行ったりすることで、NDVの認知度向上を図っています。特に生成AIに関するレポートは反響が大きく、オンライン勉強会には100名以上が参加してくれました。

この勉強会の実施準備過程で、我々がレポートの内容を対外的にわかりやすく説明できるよう、補足調査などをしながら仕上げていくのですが、これより、共創チームの業界理解度がさらに向上するという副次的な効果も実感しています。


── 社内でのレポートの反響はいかがでしたか?

平尾氏
やはり生成AIアプリをテーマにしたレポートは特に反響が大きく、「これを使って勉強会をしてほしい」という要望が事業部から寄せられました。また、「この業界に詳しいようなので打ち合わせしたい」という問い合わせも増え、スタートアップ連携の機会が広がっています。

他にも、ドコモの競合となる他キャリアの投資・協業動向分析のレポートも幹部層からの評価が高く、NDVの取り組みがグループ全体に浸透するきっかけになりました。


貝沼氏
最近では、生物多様性をテーマにしたレポートをもとに勉強会を開催したことで、社内のサステナビリティ推進の担当からも良い反応がありました。今後はエンタメ分野の調査も予定しており、どのような反応が得られるか楽しみです。


── Questのレポートのどの部分が特に刺さっているのでしょうか?

平尾氏
やはり情報の網羅性が大きなポイントです。ただ単にデータが多いだけでなく、レポートには、法規制や市場の成り立ちなど多角的な視点が含まれているため、読み手によって異なるポイントが刺さるのも魅力です。

知識の底上げだけでなく、新たなビジネスアイデアの創出にもつながっています。


貝沼氏
加えて、「なぜこのスタートアップが有望なのか?」というプロセスが明確に示されている点も評価しています。単なるリストではなく、業界の整理と仮説構築がしっかり行われているため、納得感を持って意思決定ができます。


CVCの目利きを支え、提案力を強化する業界調査

── 同じような課題を抱える企業に向けて、業界リサーチの価値についてお話を伺えますでしょうか?

平尾氏
私自身、事業会社でリサーチをしていましたが、どのように進めればよいのか手探り状態でした。プロのリサーチを受けることで、情報の深掘りや整理の仕方を学び、自分で作成する資料も大きくブラッシュアップできました。調査のプロセスを理解することは自己成長にもつながると感じています。

特にCVCでは、社内コンサルや社内営業のような役割が求められます。例えば、フィンテック分野のスタートアップを紹介する際、その基礎情報を理解していなければ適切な提案ができません。リサーチを通じて知識を蓄えることで、より深い議論が可能になり、提案の質も向上します。その点で、Questの調査支援は非常に価値があると感じています。


貝沼氏
CVCの業務では、業界調査がスタートアップの目利きにも直結します。一方で、日本のCVCの多くは二人組合型で、業界やスタートアップの見極めをVCにある程度任せるケースが多いという印象です。

しかし、すべてのVCが詳細な調査・分析をしているかというと、時間の制約やケイパビリティの問題もあり、意外と深くは調査できていない場合が多い。他VCからの評価、あるいはスタートアップのピッチ内容を鵜呑みにするのではなく、自社で知識を積み上げて仮説を持っておき、専門家であるVCやスタートアップとも一定の議論ができる状態にしておくことが重要なのではないかだと考えています。

その点において、Questとの取り組みに関しては、調査レポートの内容だけでなく、毎週の定例における議論の過程も含めて、我々の知識の底上げになっていると感じます。


投資戦略と事業ニーズを踏まえたリサーチテーマの選定

── 企業戦略において、リサーチテーマの管理はどのようにされていますか?

貝沼氏
我々の投資戦略と連動させる形で考えています。「足元の協業・出資」と「飛び地の協業・出資」のバランスを取りながら進めています。


小梶(Quest)
NTTグループの事業部門との会話を通じて、浮かび上がるニーズを吸い上げながら、リサーチテーマを決めているということですね。


貝沼氏
はい。ただし、事業部門からの要望をそのまま調査するのではなく、ベーシックな調査はしつつも、事業部門に対して驚きや新しいインサイトを提供するという点は重視しています。


新たな示唆と発見をもたらすリサーチへの期待

── 今後、Questに期待することを教えてください。

平尾氏
これまでの1年以上の付き合いの中で、NTTグループへの理解が深まっていると思います。今後もその知見を生かし、NTTグループの事業に対して示唆に富んだ調査をお願いしたいです。


貝沼氏
これまでの調査ではテーマによっては若干クオリティのばらつきがありましたが、それを均質化しつつ、各テーマで押さえておくべき基本的な部分と新しい発見の両方をバランスよく提供してもらえたら嬉しいですね。


平尾氏
あえて視点を変えるようなアプローチも期待しています。単に調査結果をまとめるだけでなく、驚きや新しい視点を提供していただけると助かります。


小梶(Quest)
ありがとうございます。これまで多数のリサーチャーがリサーチを担当していましたが、今後は生成AIを活用することで、データ収集のリードタイムを短縮し、コストを削減できると考えています。これにより、より機動力のあるリサーチを提供できると考えています。

── 本日はありがとうございました!